司法書士ができる業務は広がっている

社会的役割が大きい司法書士

 

「司法書士とは」と調べると、

他人の依頼をうけて、裁判所・検察庁・法務局・地方法務局に提出する書類を作成することをメインの業務としている者

とあります。

 

司法書士法というのがあって、そこには次のようなことが書かれています。

司法書士は、他人の嘱託を受けて、次に掲げる事務を行うことを業とする。

  1. 登記又は供託に関する手続について代理すること
  2. 裁判所、検察庁又は法務局若しくは地方法務局に提出する書類を作成
  3. 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること
  4. 裁判所または検察庁に提出する書類を作成すること
  5. 前各号(1〜4)の事務について相談に応じること
  6. 簡易裁判所における手続について代理すること

 

近年までは実際には、不動産登記と商業登記が大きな比重を占めていました。

 

また債務整理や消費者問題その他成年後見等、町の法律家としての活躍が大いに期待されているのが司法書士でもあるんですね。

 

ここでは、司法書士の歴史と、これから広がる業務範囲について紹介しています。

 


司法書士の歴史は明治から始まった

 

司法書士は歴史が古く、明治時代からあります。街の法律家として、長年親しまれている法律家です。現在では多数の方々を救うため、高い社会的地位を得ています。

 

司法書士は昔、代書人と呼ばれ、明治時代の司法職務定制という法律の代書人制度からスタートしました。現在の弁護士にあたる代言人もこのとき生まれました。

 

当時の訴訟は代書人が作成した書類でないと証拠力がないとされる「代書人強制主義」がとられていたので、代書人の地位は非常に高いものでした。

 

その後、代書人強制主義がなくなり、代書人の地位や権限が一時弱められ、「代書屋」というイメージが広がったのもこの頃です。

 

しかし、昭和53年の司法書士法の大改正によって司法書士は法律の実務家として明確に位置づけられ、資格試験も国家試験となり、再び高い地位と強い権限を持つに至りました。

 

また、複雑化・細分化していく社会を反映して、仕事の内容も単なる代書業から、法律的な知識でものごとを分析する「財産コーディネータ」としての立場が重要になってきました。

 

企業や個人の法律問題のホームドクター的な仕事が多くなってきているのです。

 

このように今や「町の法律家」というのが司法書士会の目指すイメージにもなっています。

 

さらに各種相談業務によって一般市民が紛争や犯罪に巻き込まれることを未然に防止するという大きな社会的役割も果たしています。

 

たとえば、原野商法や詐欺事件で事前に司法書士に相談したおかげで被害を免れたケースも少なくありません。最近では、過払い金返還請求で多数の方が救われています。

 

このように現在の司法書士は、職務の内容、資格の位置づけとも非常に高い社会的地位を得ているといえます。

 

司法書士の広がる領域

 

司法書士と言えば、不動産登記・商業登記(会社の登記)というイメージが強い方も多いですね。

 

しかし、今や司法書士は市民に寄り添う法律家として、様々な業域を扱っています。
主な司法書士の業務は

  1. 不動産登記
  2. 商業・法人登記
  3. 裁判業務
  4. 成年後見業務
  5. 供託

です。

 

そんな、司法書士になるには、司法書士試験に合格し、日本司法書士会連合会の司法書士名簿に登録しなければならないのです。

 

不動産登記

 

司法書士は大切な財産を守る不動産登記制度の担い手として活動してます。

 

平成17年3月からの不動産登記法の大改正により司法書士に登記の真実性を担保する積極的な役割を委ねられたことによって、その社会的な使命は益々重要なものとなっています。

 

売買などの不動産取引については登記義務者が登記簿上の所有者本人なのか、登記申請の意思があるのか、実体に即した登記となるのかなど、様々な問題を解決し、取引の安全に貢献してます。

 

商業・法人登記

司法書士は各種会社やその他の法人登記について、その手続き全般に関わっています。

 

会社の設立から役員変更、増資等、登記に必要な定款や議事録等の作成や確認を行い、登記手続きの申請代理を通じて商業法人登記制度を支えています。

 

裁判関係業務

簡易裁判所での訴訟代理業務が、平成15年より可能になった(認定考査の合格が必要)のですが、現在では司法書士が原告側に代理人として就任した訴訟の件数は多くなってきています。

 

司法書士は地方裁判所や家庭裁判所に提出する各種の書類を作成し、特に、簡易裁判所の管轄に属する事件(訴額が金140万円以内)については法務大臣の認定を受けた司法書士が弁論活動を行う等、訴訟の代理をすることができます。

 

これには少額訴訟(訴額が金60万円以内、1回の口頭弁論で終結する)を含む訴訟事件の他、和解や調停手続きの代理も含まれます。その他にも破産や特定調停、民事再生手続きなど、相談や各種申し立て書類の作成を行い、市民の再出発の支援をしています。

 

2015年の裁判所司法統計によると、簡易裁判所の訴訟で、原告側のみに訴訟代理人がついた事件の受任内訳は、

  • 弁護士 30,681件
  • 司法書士 24,271件

となっています。

 

パターンとしては、被告側が弁護士だったり、司法書士だったり、双方が弁護士や司法書士、という事もあるのですが、簡易裁判所では、司法書士は訴訟のおよそ4割近くに関わっていることになります。

 

成年後見業務

成年後見制度は、判断能力が不十分なために、財産侵害を受けたり、人間としての尊厳が損なわれたりすることがないように、法律面や生活面で支援をしていく身近な仕組みです。

 

司法書士は「社団法人成年後見センター・リーガルサポート」の活動を通じ、保護を必要とされている方々に対し様々な支援を行っています。

 

供託

家賃供託等、弁済供託において、当事者間にトラブルがあって支払うべきお金を受け取ってもらえない時に、国にそのお金を供託をすることによってその不払いによる不利益を未然に防ぐ制度ですが、その方法を教えたり手続きを代理しています。

 

その他にも、司法書士は、様々な法律を巡る問題について相談業務を行っています。

 

検察庁への告訴、告発状の作成や法務局へ帰化申請の書類の作成を行っている事務所もあります。

 

司法書士の魅力と将来性

 

昭和の時代くらいまでは、司法書士は男性が多かったのですが、簡裁代理権が付与されてからはだいぶ変わりました。

 

2003年4月に簡裁代理権が付与されてから、
簡裁訴訟代理や民事調停代理、その他法律相談業務、裁判外の和解代理などが司法書士ができることになりました。

 

登記だけでない役割が司法書士に与えられたことにななって、仕事ができることが広がったため司法書士の女性も増えています。

 

司法書士は、企業や土地・建物の売買など不動産登記や会社の登記が必要な場合には、法的判断ができる第三者として、必要です。

 

取引がある限り、需要はかなりあります。
収入も昨今の弁護士急増と言われる中でも、安定性があると言われています。

 

司法書士の年収150万〜3000万超。
かなりの幅がありますよね。

 

底辺を見ればきりがなく、アイデア次第で年収はもっと上の人もいます。

 

不動産・金融など司法書士業務は今後ますます広がる

 

司法書士の業務は多岐にわたり、不動産や金融の分野では今後もますます広がります。

 

世界が多様化していくにつれて、司法書士の役割も大きく変わっていく可能性があります。

 

司法書士を目指す方の中には、OA化の進展が目覚ましい今日、司法書士の仕事もコンンピュータなど機械にとって代わられるのではないかと心配している方もいるかもしれません。

 

たしかに登記の事務処理システムも、登記簿が磁気ディスクになり、コンピュータ化が実用され、インターネットで登記情報を取得することができるようになっています。

 

しかし、それはあくまでも事務処理の問題に過ぎません。

 

司法書士の仕事は単なる書面の作成ではなく、法的判断をして手続きを行なうことにあります。

 

複雑で高度な判断力と豊富な知識が必要とされるため、経験による人間的な感情も業務をこなしていく上では必要不可欠です。

 

たとえば貸したお金の返還を求めて訴訟を起こす際に、司法書士は当事者に代わって裁判所に提出する訴状の作成を行ないます。

 

また、簡裁の訴訟代理権も与えられています。

 

このとき司法書士は、お金を貸す側の気持ちと借りる側の気持ちを十分理解した上で業務を遂行しなければなりません。

 

いくらOA化が進んだとしても司法書士の仕事がなくなるということはありません。
それどころか司法書士の仕事は広がる方向にむいています。

 

たとえば不動産関係にしても、今は不動産業者が契約をまとめてから司法書士の出番となりますが、契約を結ぶ段階から司法書士が関与すればトラブルを未然に防げる展望があります。

 

また法律関係の相談にしても、身近で手軽という利点から「遺産分割協議書の作成」といったことや「内容証書の作成や契約書作成」といったことで金融関係を中心に多くなる傾向にあります。

 

そのほかにも、外国の企業と日本企業との合弁会社の設立や外国人の相続や土地売買など、司法書士の仕事も国際化していく可能性が大きくなってきています。

 

世の中が多様化していくにつれ、司法書士の仕事も大きく変わっていく可能性を秘めているといえるのです。

 

小子高齢化社会だから司法書士が必要になる

現代の日本が抱える問題の1つとして、少子高齢化社会があげられます。

 

このような社会問題の影響で、司法書士の業務のうち、相続に関する案件や高齢者のための成年後見業務がかなり増加しています。

 

高齢者の方の行う法律行為や相続によって生じる権利変動は、法律の専門家の力添えがあれば、より正確かつ円滑に行うことができます。

 

今は、司法書士は、これまで以上に社会的要請の高い資格です。

 

司法書士という職業は一見地味なイメージがありますが、社会の財産関係の秩序を守る非常にやりがいのある仕事です。

 

人助けという魅力とやりがいがあり、かつ、将来性・安定性もある司法書士試験の受験を目指してみませんか。

 

このような、社会的に役割の多い、やりがいのある資格の司法書士をするなら、すぐにでも学習をはじめてみましょう、

司法書士試験受験情報

 

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