司法書士でも後見専門の仕事をするリーガルサポート

リーガルサポートの司法書士が後見人の代理権を行使する

 

司法書士試験で、民法の最初の方で「後見」の分野を勉強しますよね。

 

司法書士試験に合格しての仕事、というとほとんどの場合「登記」を連想しますが、「後見」に関する仕事もあります。

 

司法書士の後見人集団のリーガルサポートでは、後見制度が開始されて以来、判断力が不十分な人たちを保護するために組織されました。

 

ここでは、リーガルサポートの成り立ちと法的判断の行使について、紹介します。

 


リーガルサポートとは司法書士の後見人集団

 

リーガルサポートとは端的に言ってしまえば、司法書士の後見人集団、といえるものです。

 

もともと、成年後見制度は、高齢化社会の問題点に対応するために2000年4月の民法を改正してできた制度です。

 

この成年後見制度を利用すると、「成年後見人」「保佐人」「補助人」とよばれる役割の人がつきます。

 

成年後見人は、たとえば売買が必要か否かを総合的に判断します。

 

その上で売るのか売らないのかを決定し、必要であれば代わりに売買契約を結び、契約が無効になる心配もなくなります。

 

一方で、必要性の判断を成年後見人が行うので、判断能力が不十分であることにつけ込まれた被害を防止することができて、高齢化社会にはなくてはならない制度なんですね。

 

司法書士は、この社会の動向に対応して、従来の登記専門家の枠を飛び出して、早くからこの成年後見制度に関与してきています。

 

成年後見制度の施行に際して、司法書士会は、別組織の社団法人をたちあげてこの問題に対応しています

 

判断能力が不十分な方の権利擁護は、単に法律家としての知識や経験では足りず、医学的知識、心理的知識、その他の総合的能力が必要となることなどから、別組織になっているのです。

 

これがリーガルサポートです。

 

司法書士のみを構成員として、高度な研修を課して、より高い専門性を磨いて、より高い倫理観を身につけた司法書士を後見人とするためです。

介護施設を訪問する司法書士

 

後見制度を利用し財産を管理が始まった方(被後見人)は判断能力が不十分なため、仮に後見人に不正があったとしても、クレームをいうことができません。

 

そのため、後見制度は裁判所がその方に代わって、後見人を監督するシステムが用意されていますが、より安心してこの制度を利用してもらうために、さらに内部で司法書士の後見業務を監督する機能が必要であると考えたのです。

 

そこで、既存の司法書士会ではなく、専門特化した社団法人の成年後見センター・リーガルサポートを設立して後見人を養成することになったのです。

 

この考え方が受け入れられ、現在このリーガルサポートの活動は高い評価を得ています。

 

現在では後見人として、司法書士、弁護士、社会福祉士といった専門家の中でも、司法書士が最も多く選任されています。

 

後見人としての司法書士の仕事は2つ

 

後見人として、代理権と取消権が与えられますが、司法書士が後見人になるとこの権利の行使はとても重要です。

 

司法書士の後見人の仕事は紛争防止のために後見人を守る仕事をしています。

 

後見人になって、司法書士がする大事な仕事として、「代理権」と「取消権」の2つがあります。

 

後見人の仕事は「判断能力が不十分な社会的弱者の権利を擁護」することですから、後見人になった司法書士はその人を守る仕事をすることになります。

 

代理権はかなり広い

 

判断能力が不十分なことにつけ込まれて不利益を受けないように、代理人となって財産を管理し、施設との入所契約、売買契約、賃貸借契約、銀行取引など、さまざまな法律行為を行います。

 

他人の財産を預かることになるので、必要な場合は訴訟も行います。

 

ここでは、「140万円以下の簡易裁判所の事件に限る」という制限はありません。

 

家庭裁判所で行う遺産分割調停や訴訟が行われたら、そこに出向きその人の相続分を主張することができます。

 

取消権がある

 

判断能力が不十分なことにつけ込まれて、その人が後見人の知らないところで不利な契約をしてしまうこともあります。

 

このような不利な契約は、司法書士が取り消すことができます。

 

たとえば、玄関先での訪問販売で購入したものを取り消すなどといったこともします。

 

後見人の仕事は、一見紛争解決の仕事のようにも思えますが、それは付随的なもので、その本質は判断能力が不十分になってしまった方が安心して生活できるための支援のようなものです。

 

そして、権利侵害を受けないように、紛争解決したり紛争予防をしたりします。

 

そもそも登記制度で紛争の予防の仕事をしてきた司法書士は、このような後見人の業務は向いているともいえます。

 

リーガルサポートでは後見人の業務を紛争予防に重点を置いています。

 

ただし、紛争予防の対象は不動産ではなく、人になります。

 

物言わない不動産ではなく血の通った人になったという仕事なのです。

 

司法書士試験受験生&講師 ←いろんな勉強方法があって参考になる