従来型と認定司法書士
2000年になってから「規制社会から活力ある競争社会へ」ということで、自己責任が強調されるようになりました。
そのなかで、紛争を迅速に解決するために司法制度の改革がされることになり、司法書士にもスポットライトがあてられるようになりました。
これが簡易裁判所で訴訟代理等を行う業務の付与になったのです。
認定司法書士の仕事は従来とどう変わったのか、紹介します。
認定司法書士とは
司法書士が簡易裁判所に関係する業務を行うためには、司法書士試験合格後、特別研修を受講して「簡易訴訟代理能力認定考査」に合格する必要があります。
認定司法書士は、司法書士試験というより、司法試験に近い内容のイメージです。
この認定を受けた司法書士が認定司法書士と呼ばれます。
認定司法書士は、簡易裁判所での事物管轄を範囲内とする民事訴訟、調停、即決和解等の代理、法律相談、裁判外和解、少額訴訟債権執行の代理を行うことができることになります。
同じ司法書士でも2つのグループに分けられることになりました。
- 他人の争いごとに入り込まない→従来型の司法書士
- 他人の争いごとにも入り込む→認定司法書士
これまでは、他人の紛争に代理人として口を出せるのは、弁護士だけでした。
つまり、弁護士がこの業務を独占していて、司法書士が法律相談という相談会をするだけでも、弁護士法違反であるとしてクレームが寄せられることもありました。
それが、この足かせが外されたのです。
簡易裁判所での認定司法書士の法律業務
認定司法書士は、簡易裁判所の仕事がすべてできる、というわけではないんですね。
「簡易裁判所での事物管轄を範囲内とする紛争」という限定がつきます。
おおざっぱな言い方をすると、140万円以下の紛争であれば、司法書士は弁護士と同じ仕事をすることができる、ということです。
140万円以下の紛争というと、一般の方が紛争に巻き込まれる多くのケースをカバーできます。
- 「家賃を払ってもらえない。もう50万円たまった」
- 「友人に50万円貸しているけど返してもらえない」
弁護士に頼みたいけど近くにはいない、やってもらえない、費用倒れになる、、、、
どうしたらいいかわからずそのままになっている場合がかなりあります。
このときに認定司法書士に相談しても「交渉」をすることができるので、弁護士に依頼したのと同じになります。
依頼者の代理人として、「あなたの言い分は司法書士に申し出てください」と付け加えた文書を送ることもできるので、この段階で交渉が進展して、訴訟をするまでもなく解決することもよくあります。