本人確認するために

司法書士が実務でする本人確認とゲートキーパー法の関係

 

ゲートキーパー法とは「犯罪による収益移転防止に関する法律」という法律のことです。

 

この法律は、犯罪からの収益の移転とテロ資金供与の防止対策を目的として、マネーロンダリング(資金洗浄)などの疑いがある行為を通報することを義務づけたものです。

 

これに違反した場合は処罰する、という内容のものです。

 

通報義務があるものとして、金融機関ばかりでなく、司法書士のほか、弁護士、公認会計士、税理士、不動産業者など顧客の個人情報を知りうる43職種を定めています。

 

対象業者は下記のような義務を負っていて、場合によって警察は裁判所の令状なしで対象業者への立ち入り調査などを行うことができます。

 

  • 顧客等の本人確認をすること
  • 顧客等の取引記録等を作成・保存すること
  • 疑わしいと思われる取引である場合、行政庁へ届け出ること(ただし、弁護士、司法書士、行政書士、公認会計士、税理士にはこの義務はありません。)

 

ちなみに、処罰する、という文言に司法書士はびくびくしているわけですが、弁護士には処罰する、という文言が適用されていません。

 

届け出された情報は監督官庁から警察組織である国家公安委員会に情報として蓄積され、警察の捜査に使われることになります。

 

疑わしい取引には、犯罪による収益と疑える場合だけでなく、「多額の現金送金」など犯罪と関係ないものも含まれる、とされています。

 

この法律は、個人のプライバシーなど基本的人権を不当に侵害する危険があって問題の多い法律ともいわれています。

 

司法書士はこれを受けて、本人確認という名目で、登記前に司法書士が一度きりのお客さんの生年月日や借入金額等を聞いたりします。

 

住宅ローンなどでは通常、多額のお金を借りて抵当権設定登記をするシーンなどがありますからね。

 

本人確認とはいえ、形だけになっているのですが、それはこのゲートキーパー法によってなされているものです。

 

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