司法書士試験に合格しても高給は望めない

サラリーマンより少ない司法書士の年収

 

司法書士試験は難易度が高く、受験期間も数年に及ぶ人がざらにいます。

 

そんな司法書士試験に合格して、さて、仕事をはじめたら「高待遇の年収がある!」
と思いきや、現実はサラリーマンより安い給料で働かされることになります。

 

司法書士試験に合格しても、高給でウハウハの生活は望めません。

 

司法書士の予備校などでは「平均年収が高い司法書士」と宣伝しています。

 

ですが、実際には、司法書士試験に合格して、初めて合格して働くと、丁稚奉公で、給料は新卒よりも安いときもあります。

 

司法書士事務所として開業し、軌道に乗って、やっと生活ができるかも、というのが現実です。

 

ここでは、司法書士の年収について、客観的に見ていきます。

 


安い司法書士事務所の給料

 

司法書士試験に合格して開業前に司法書士の事務所に就職する方法があります。

 

しかし、経験もない司法書士資格者が司法書士の事務所に勤務しはじめても、給料は同年代のサラリーマンよりははるかに低いです。

 

新卒の給料より低いかもしれません。

 

司法書士は、弁護士と違って強制的な研修制度がありません。
司法書士試験に合格して司法書士会が主催する研修を受け、司法書士会に入会しさえすれば開業はできます。

 

制度としては実務経験がなくても司法書士は開業できるんですね。

 

ただし実務のことを知らなければ怖くて開業できないというのが現状です。

 

頭でわかっていことと、実際の現場のことは本来は一致しているはずなのですが、どうしても戸惑いを感じてしまいます。

 

そこで合格したら司法書士事務所に就職して実務経験を積み、その後に独立するのが一般的な方法です。

 

20代の人なら司法書士事務所への就職も結構あります。

 

ただ30代、40代の人は、採用する事務所側もそれなりの給料の条件を整えなければならないので、就職口の数でいうなら20代の人よりは厳しくなる事が多いです。

 

しかし、私の知り合いの方は、司法書士試験に合格したのが50歳を過ぎていましたが、司法書士事務所で修行を開始して、いまでは立派に独立開業されています。

 

その方などを見ていると、新人という気持ちをいつでも持って若々しい精気がみなぎっている。そして謙虚です。

 

年齢だけで司法書士事務所への就職が不利になるというものでもありません。
要は本人のやる気と姿勢次第ということでしょう。

 

司法書士事務所に勤めるということは、一種のサラリーマンになると考えてもいいわけです。
しかし一般のサラリーマンと根本的に違うところがあります。

 

巨大な司法書士事務所だったらサラリーマンとしての道もあります。
ですが、一般の事務所の場合は、司法書士の資格を持っている人はいずれ独立するということが事務所との間に暗黙の了解としてあります。

 

だから、資格があるからといって給料が高いというわけにはいきません。

 

たとえば40代の方なら、サラリーマン時代の給料には及ばない額だと最初から思っていたほうがいいでしょう。

 

おそらく同年代のサラリーマンやOLと比較しても給与水準だと半分以下になるでしょう。

 

あくまでも就職なので、「勉強をさせてもらっているのだ」という気持ちをもって一日も早く実務を覚えることに専念することです。

 

そしてその先生の協力を得て独立するのがもっとも一般的な方法です。

 

 

司法書士事務所を開業した場合

 

司法書士事務所として開業した場合、司法書士の仕事は、すべての責任が自分にのしかかってくる代わりに、収入も充実感も自分の力量次第でいくらでも伸ばすことができます。

 

以前は、司法書士には独立しても「補助者は五人まで」という制約があって企業化法人化できませんでした。

 

そのため収入に上限なし、というのはなかなかできなかったのですが、現在ではそのような制約がなくなり、やる気と実力次第で高収入が得られることには間違いありません。

 

バブル時期にの1990年代の司法書士の平均年収は約1300万円でした。

 

その頃は、一番低い県でも約700万円。
首都圏では約1900万円でした。

 

経費などを控除する前の数字なので、首都圏での事務所や人件費の高さを考えると地域格差は見た目よりは小さいんですね。

 

ただ、あくまでも平均なので、開業初年度で赤字の人もいれば、一億円以上の高収入者も含まれていたわけです。

 

現在では、そのような格差がさらに広がっていますが、平均的な年収はかなり低くなっています。

 

たとえばマンション購入のため5000万円を住宅ローンで借りた場合、
建物保存、抵当権設定登記手続の手数料がおよそ約12万円です。
株式会社の設立も同じぐらいです。

 

単純計算で月に10件、年に120件の仕事をこなせば1440万円の収入が得られるわけです。

 

さらに司法書士法改正以後、報酬改定も行なわれ、現在では報酬制限が撤廃されています。
このほかにも時間制の相談料や顧問料としての継続相談料が設けられるなど、以前より報酬面はバラエティがあります。

 

努力が年収に結びつく頑張り甲斐のある仕事、というのが資格試験予備校の売り文句の一つだったりします。

 

ただ、司法試験の合格者が増え、弁護士でも仕事がない人が増えてきて、司法書士の分野までも入り込んでいます。

 

よく話題になっているように弁護士になっても仕事がない時代です。
司法書士ならなおさら・・・なんですね。

 

今は、司法書士が高給をとって活躍するイメージはすっかりなくなっています。

 

 

司法書士の実際の年収はものすごく安い

 

まずは、週刊誌の記事から紹介します。

 

2013年8月27日週間SPAの記事から

合格率は3%と言われ、10年落ち続けるケースもザラだという司法書士試験。

 

 だが、この超狭き門を通過しても前途は多難だというのが現実のようだ。5年前に司法書士資格を取得し、現在は司法書士事務所に勤務する吉川夏樹氏(38歳・仮名)が複雑な胸の内を明かす。

 

司法書士事務所っていうのは、絶望的に待遇が悪い。ひどいところだと、30歳を過ぎても年収200万円台とかですから。あれだけ苦労して合格したのに、なぜ?って普通は思いますよね。これは司法書士事務所が独立のための“修行の場”と考えられているためです。

 

 さらに司法書士は何歳で合格しようが新人として扱われるので、給与ももちろん“新人”。合格して、年収500万円の会社勤めを辞めて司法書士事務所に入った30代の男性であっても、初任給は20万円台前半だったりすることはザラなんです」

 

 だからといって、独立しても成功が約束されているわけではもちろんない。それどころか、生活苦で業界から足を洗うケースも多い。

 

「警備員のバイトをしてるとか、1年もしないで出戻りしたとか、奥さんの扶養家族になっている人もいますね。おそらく年収は100万円前後じゃないでしょうか」

 

 司法書士事務所の待遇は劣悪だが、さりとて独立するのはリスクが大きすぎるとも吉川氏は言う。

 

「独立開業1年目は経費を引いて300万円あればいいと言われています。

 

独立すれば事務所の管理からバイトの管理もしなきゃいけないから、仕事が増えます。

 

同じ給料なら雇ってもらってたほうが楽ですよ。だから中には“フリー”として活動する人もいるくらいです」

 

 これは事務所を構えず、携帯ひとつで業務を行うというスタイルだ。なんとも胡散臭ささがつきまとう。

 

 独立に憧れていた吉川氏も、独立失敗のケースを見せられ、現在は事務所におとなしく勤務する日々。夢の残骸が虚しく横たわっている。

 

 こうした実例は司法書士だけではない。例えば、司法修習生の収集期間中の給費制が廃止されたために、弁護士になった途端に借金を抱える人などもおり、「金持ちしか弁護士になれなくなる」などという声も挙がっているという。

 

「資格をとれば人生バラ色」とばかりに努力して勉強したのに、目論見が違ってしまった。
週刊SPA!8月27日発売号「年収300万円ならマシ![食えない士業]の大誤算」特集では、そんな悲惨な事例をリポートしている。→週刊SPAはこちら

 

一昔前、といってもつい15年前(平成20年前後)くらいまでは、司法書士の資格を取得したら、ずっと食べていける、という時代でした。

 

それが、令和時代の今では、司法試験に合格しても生活ができない。

 

それどころか、司法試験に合格して資格をとっても借金を背負ってしまうと言う資格。

 

司法書士の年収が、サラリーマンの平均年収の半分という事態です。

 

感染症の蔓延で、日本中の経済自体が停滞してしまっています。

 

こういった状況が続くと、法律家になること自体が、門戸が狭まってしまいますね。

 

いかかでしょう。

 

一つの資格を持っただけで一生安泰、という資格はもうないのかもしれませんね。

 

司法書士試験に合格する目的が年収・安定、という項目が優先事項なのであれば、他の仕事をオススメします。

 

なまじっかプライドが高い、閉じられた業界だったりもします。

 

司法書士の仕事に、やりがいなどお金以外の面で司法書士試験合格のためのモチベーションを持った方が、長続きします。

 

司法書士試験受験生&講師 ←いろんな勉強方法があって参考になる