司法書士試験とは制限のない開かれた試験

司法書士試験の合格証書

 

資格試験というと「実務経験」や「年齢制限」があったりすることが多いですよね。

 

たとえば、公務員試験だと年齢が30歳を超えると、ほぼ対象から外れます。

 

以前は、司法試験も制限がなかったのですが、ロースクールの制度ができてから、受験回数や法科大学院卒などの制限が加わりました(予備試験という道はあります)。

 

司法書士試験は経験や年齢制限もなく、受験手続きもシンプルな開かれた資格試験です。

 

何度でも受験できるし、若くても、人生をリセットしてやり直そうという時でも、受けられる資格試験です。
もちろん、合格率も低く難易度も高いですが、だからこそ達成感ややりがいのある仕事ができるんですね。

 

ここでは、誰にでも開かれている司法書士試験とはどういう内容なのか、を具体的に紹介します。

 


司法書士試験の受験手続きは簡単

司法書士試験の受験手続きは、とてもカンタンで郵送での受付も行われています。

 

学歴、年齢も制限がなく、カンタンに受験手続きができるところは他の資格試験と比較してみても例をみない資格試験です。

 

司法書士試験受験までの流れ

 

司法書士試験の手続きはいたって簡単です。

 

受験申請書は法務局及び地方法務局で例年4月半ば以降に交付されます。

 

受験するための申請書は、返信用封筒を入れて、郵便で請求することも可能です。
司法書士試験の講座のある学校でも、配っているところもありますね。

 

受験申請の受付期間は例年5月中旬から下旬の予定です。

 

申請書には写真、受験料の収入印紙を添付して、受験しようとする試験場の所在地の管轄する法務局及び地方法務局の総務課に提出します。

 

これも郵送でも可能ですが簡易書留郵便など、記録が残るものにしておいたほうがいいです。

 

申請書を提出する法務局は、かっては将来、事務所を開設する法務局と限られていましたが、現在は全国どこでも開業できまるので、都合のよい法務局に提出することができます。

 

人が多いところは苦手、という受験生があえて、首都圏から外れたところで受験したりしています。

 

試験日程は筆記試験が受験申請した法務局及び地方法務局が指定した試験場で、7月上旬(第一週目が多い)の日曜日に行なわれます。

 

8月に試験問題や、択一式の問題と正解、基準点が広報されます。

 

9月末から10月の上旬には合格通知が送られてきます。

 

口述試験は、法務局が指定した場所で10月中旬に行なわれます。
司法書士試験の口述試験は、ほぼ全員が合格するので、面接といったところです。

 

11月中旬頃に官報で最終的な合格者が公告されます。

 

このように、司法書士試験の手続きや受験は、全国どこからでも簡単にできて、受験制限などがないのが最大特徴です。

 

司法書士試験の内容

午前の部は憲法、民法、刑法、商法

 

司法書士試験の筆記試験は、午前の試験が五肢択一問題35問、午後の試験が五肢択一問題35問と書式とよばれる記述問題2問が出題されます。

 

午前の試験は、憲法3問、民法21問、刑法3問、商法8問、以上の4科目。
形式は択一式問題で問題数は平成5年から40問から35問になりました。
制限時間は2時間です。

 

午前の試験の特徴はなんといってもその範囲の広さです。

 

ざっと見ても民法で条文数1000条、刑法では250条、商法で700条という量です。

 

大学の法学部の一般的なカリキュラムでみると、民法は総則、物権法、担保物権法、債権総論、債権各論、親族法、相続法の7科目。

 

刑法は、総論、各論の2科目。商法は、もっぱら会社法です。

 

しかし司法書士の試験では、民法の場合、全般というよりも不動産登記と関連のある抵当権が重視されています。

 

物権関係とくに担保物権においては司法試験よりも難しい問題が出題される傾向にあります。

 

出題の振り分けは、総則が3問、物権法と担保物権法で10問前後、債権法が4問前後、親族法と相続法は5問前後です。

 

物権法がとくに重要なのは、司法書士が業務で扱うことと近接した箇所が狙われやすいからです。

 

不法行為や不当利得などはあまり出題されません。
司法書士試験の勉強をするときも、まんべんなく勉強するのではなく、重要部分に絞って勉強してくことが重要です。

 

商法は会社法からの出題が圧倒的、刑法は総論が要注意

 

商法は出題数は8問で固定されるようになりました。
総則から商行為、株式会社中心に出題されます。

 

最近では株式会社法からの出題が圧倒的です。
このところ商法総則・商行為法からの出題はあまりありません。
会社法に関しても会社設立や登記事項など、司法書士が取り扱うであろう部分が出題されています。
刑法は3問出題されます。
総論部分、各論部分からです。
総論では錯誤、各では横領になるかならないかというような難しい問題が出ます。

 

刑法は、全部を理解しようとすると、時間が足りなくなるかもしれませんが、司法試験からの転向者にとっては、それほど難しくない問題です。

 

司法書士試験の要は民法です。
午前の試験の出題数が35問中、民法は21問です。午前の試験の約60%を占めていることになります。

 

午後の試験は三つの手続法と司法書士法が中心

 

午前の試験科目が司法書士の土台、基礎とすれば、午後の試験科目は司法書士の上物、すなわち建物といえるものです。
つまり、午後の試験の科目は司法書士の業務に直接関係する科目です。

 

試験科目は民事訴訟法・民事執行法・民事保全法、供託法、不動産登記法、商業登記法の4科目。問題数は平成5年からそれまでの40問から35問になりました。

 

司法書士法は2000年前後は出題されませんでした。

 

民事訴訟分野は民事訴訟法から5問、民事執行法から1問、民事保全法から1問の計7問が出題されます。

 

民事訴訟法とは、訴えの提起、口答弁論、判決までの民事訴訟の手続きについて定めた法律です。

 

民事執行法は、原告が勝訴しても被告が義務の実行に協力しない場合、強制執行をするための手続法です。
また、仮処分・差押えするための手続法が民事保全法です。

 

これらの法律は、司法書士が裁判所に提出する書類を作成する場合に必要不可欠なものなので、、相互に関連性が強いので、訴訟の流れと実体法の民法と総合的な理解が必要ですね。

 

供託手続を定めている供託法からは3問。
供託法は弁済供託や執行供託を中心に出題されて、供託根拠法令との関係・供託手続の理解が問われます。
つまり、供託手続を代理しうる実務能力があるか否かが判断されます。

 

そして司法書士の職務の要を構成する法律である不動産登記法は17問、商業登記法は8問出題されます。

 

不動産登記法は、司法書士の中心業務の基礎なので、午後の試験でも非常に大きなウェイトがおかれています。

 

出題は不動産登記法はもちろん不動産登記施行細則、不動産登記事務取扱手続準則、農地法、工場抵当法、抵当証券法と広範囲にわたっています。

 

商業登記法も、司法書士の中心的業務の基礎法令になるので非常に重要です。
商業登記法の他、商業登記規則及び商業登記等事務取扱手続準則などからも出題されます。

 

作戦としては不動産登記、商業登記の問題数が一番多いので、この二つを押さえてほぼほぼ満点を狙います。

 

あとは民事訴訟法が8問ほど出るので、6問は正解できるようにし、供託法は押さえておくことです。

 

不動産登記、商業登記の問題で満点をとって、あとの問題は半分以上正解するような戦略を立てるイメージですね。

 

記述式問題(書式)は不動産登記と商業登記からそれぞれ一問ずつ出題されています。

 

書式は司法書士の業務そのものなので実体法・手続法の基礎に立った総合的な知識と理解力、応用力が要求されます。

 

様式が厳格に定められていて、減点方式で採点されると言われているので、ケアレスミスは致命的になることがあります。

 

平等な司法書士試験は第二の人生のスタートも切りやすい

 

司法書士試験は誰でも受験ができて、合格最低点をとるだけで合格できる試験です。

 

司法試験が法科大学院を卒業しなければ受験資格が得られないのと比べると、第二の人生がはじめやすい試験です。

 

司法書士はいわば純正培養種の法律家ばかりではありません。

 

思い立ったときがスタートラインといわんばかりに、ある日突然勉強をはじめて受かってしまう

 

そういうことが可能な試験です。

 

学生時代に英語が全く苦手、数学もダメ。そんな科目は試験科目にはありません。

 

高校まではまったく勉強しなかった民法などの法律、誰もがはじめて学ぶ分野だけが試験科目なのです。

 

思い立ったら吉日、そのときが法律家としての第二の人生のスタート記念日となります。

 

高校時代の同窓会などに行くと、「なんで司法書士なの?」という意外な展開もよくあります。

 

かつては弁護士も同じように純正培養の法律家は少なかったのですが、法科大学院という制度ができてからはそれも難しくなってきました。

 

少なくとも、弁護士は人生のやり直しをするための職業ではなくなってしまいました。

 

英語も数学もちゃんと勉強して大学に入って、そしてさらに法科大学院に入らないと、試験そのものが受けられない制度になってしまいました。(最近では予備試験がありますが・・・)

 

それまでに要するお金と時間の余裕と、足を踏み外すことなく少年時代、青年時代を歩んできたということも必要になってしまいました。

 

司法書士になるには、そのようなことは必要もありません。
コネも必要ないし、足を踏み外してもいい。

 

ただ司法書士試験の合格最低点をとればいいだけです。
それ以上の点を取る必要もないのです。

 

競争社会のなかで、これほどフェアーな戦いができる資格はそうありません。

 

司法制度改革によって、司法書士に簡易裁判所での訴訟代理等の業務を行うことができるようになりましたが、もう一方で法科大学院の仕組みが導入されて弁護士の増員がされました。

 

弁護士が大都市に偏在している状況をなくそうとするものでした。

 

弁護士の仕事は裁判所に弁護士自身が出向かないととできない仕事なので、増員されたにもかかわらず、裁判所もなく、大きな額の争いの少ない地域にまで弁護士が行き渡っていません。

 

このような地域でも大きな額の争いであれば、大都会の事務所に依頼できるので、時々起きる少額の普通の争いへの対応が弁護士増員で解決できませんでした。

 

司法過疎その問題については、既にこのような地域に事務所があり、雑多な業務をこなしながら訴訟もできる認定司法書士が担う役割は、まだまだ大きいものがあります。

 

平等な司法書士試験には第二の人生のスタートも切りやすく、かつ多彩な仕事も待ち構えています。

 

司法書士試験の合格者の年齢層は幅広い

 

試験についてオープンなので誰でも受験できるところが魅力です。

 

司法書士試験は、学歴・年齢・性別・国籍に関係なく誰もが受験できる非常に開かれた資格制度です(ただ、若干の例外はあります)。

 

司法書士試験が広範な層に門戸を開いている資格制度であることは、合格者の年齢・学歴を見てもわかります。
学歴は大卒が中心ですが、学歴がなくても十分に司法書士になれる可能性があります。

 

20代、30代が中心ですが、40代、50代、60代の方もいます。
参考→平成30年度の司法書士試験結果(法務省のサイト)

 

司法書士試験合格者の半分は仕事がある人半分が法学部以外の出身者

 

平均的な統計から、大学の学部別に見ると

  • 法学部が54%
  • 経済・商学部が8%
  • 理工学部が8%
  • 文学部が13%
と、やはり法学部出身者が過半数を占めています。

 

しかし約半数が他学部出身者ということは、司法試験や国家上級職種の公務員試験、医師の国家試験に比べれば、出身学部はそれほど気にする必要はないといえることになりますよね。

 

司法書士試験は年齢、学歴、職業、学部とも様々な層の人が受験する試験です。

 

司法書士試験の合格者の半分は有職者、5割が法学部以外の出身者といわれています。

 

さらに合格者の職歴を見ても、もっとも多いのは無職の方ですが、これは受験勉強のために思い切って、試験前に勤めをやめた人々です。

 

だからといって、働いていては勉強できないというものではありません。

 

他の合格者の職歴は会社員・自由業・公務員・主婦と実にバラエティに富んでいます。

 

また、司法書士補助者や法律事務所事務員、土地家屋調査士、行政書士といった関連職種のかたも多く受験しています。

 

仕事をしている有職者の合格者が過半数を大きく越えているということは、仕事との両立が十分可能だということです。

 

司法書士試験受験生&講師 ←いろんな勉強方法があって参考になる