法律用語と日常用語を区別して学習する
民法の特色はその量の膨大さです。
さらに司法書士試験の民法の場合、他の科目と異なり学説や判例も比較的重要です。
ただし、様々な学説や多くの判例に、大学で勉強するように精通する必要はありません。
あくまで、基本書で紹介されているレベルのものをしっかりと学習して、結論を理解して押さえるだけです。
ここでは、司法書士試験の民法の勉強をはじめたての方を中心に、民法の勉強方法を紹介します。
民法の基本書選び
基本書というと、大学の授業で使う教科書を想像しますよね。
司法書士試験は深い理解が必要とはいえ、民法で大学の授業で使う教科書を基本書にする必要はありません。
司法書士試験の講座のある学校で使っている教科書を基本書としてマスターすれば、おつりがくるくらいです。
司法書士試験の民法の問題は、最近は学説よりも知識が問われる方が多いです。
参考書として、司法試験の択一対策として書かれたものを併せて使うと理解が深まります。
民法の基本書として古くからもっとも広く利用されているのは、我妻栄・有泉亨著『民法I.U.V』の三冊です。
この本は今世紀でもっとも偉大な民法学者と言われている我妻栄氏の著作によるもので、通説の到達した最高水準を簡明に解説することを目的とされています。
コンパクトにまとめられていますが、書かれてないことはないといわれるほどの名著で、小さくて小回りがきき、力が強いことから「ダットサン」という愛称で長く親しまれています。ただし、説明が簡潔であるために理解しにくいところもあります。
民法は法律と日常の用語の違いを区別する
民法を学習するポイントは、法律用語と日常用語をはっきり区別して学習することです。
たとえば、民法で「人」といえば普通は人間だけでなく会社などの「法人」も含んでいます。
こういった法律独特の言葉の使い方があるので、区別しながら、常識になるくらい使い方をマスターすることです。
さらに条文の相互の関係をきっちりおさえておくと、一気に理解が深まる時がやってきます。
以上が民法を学習する上での全体的なポイントです。
民法の各項目の勉強方法
民法は、総則・物権・債権総論・債権各論・親族・相続の分野に分かれています。
民法総則は法律行為に重点をおいて勉強します。このあたりは民法全体を通しての基礎部分になります。
物権法では各物権の特質を比較検討しながら学習することですね。。
最初は各物権の比較表をつくったり、すでにある基本書の表を理解することです。
次の債権各論のなかでは契約総論の危険負担や解除などが難解です。
これらは事例問題でよく他の部分に絡ませて出題されます。
2020年から新しい民法の債権法の部分が、だいぶ変わります。
契約の場面では、久しぶりに大きな変更になるので、新しい文言など、イメージができるくらいの理解度は必要です。
契約各論では売買と賃貸借が中心になります。
賃貸借ではその特別法である借地借家法が注意です。
ここは民法上の賃貸借との比較をしっかりしておく必要があります。
とくに初めて学習するときには、各契約類型を表にしてその違いはっきりとさせておくことです。
親族、相続といういわゆる身分法の分野は不動産登記法との関係で重要です。
このあたりは意外と身近にある法律ですからわかりやすいですが、2020年に相続法の部分が変わるので、出題が少ないとはいえ可ならず出題されるので、押さえておく必要があります。
民法で押さえたい重要項目チェック一覧
民法で最低限抑えておきたい事項をまとめてみました
- 権利能力
- 失院宣告を受けた者の権利能力の有無
- 胎児について三つの特則
- 行為能力と無能力者
- 未成年者が単独でできる行為
- 後見人の同意を得て被後見人がなした法律行為の効力
- 制限行為能力者の相手方の保護
- 確答を発しない場合の効果
- 法人の設立、登記
- 公益法人の設立
- 登記の対抗力□登記事項
- 寄附財産の帰属時期<
/li>
- 法人の能力
- 法人の目的の範囲
- 法人の機関
- 理事
- 仮理事
- 監事
- 法人の解散
- 解散事由
- 法人の監督
- 業務監督は主務官庁に
- 解散、清算は裁判所の監督
- 清算結了の届出は主務官庁へ
- 定款についての規定
- 主物と従物
- 不動産の附合
- 抵当権の効力の及ぶ範囲と関連
- 法律行為
- 単独行為の意義
- 法律行為の解釈
- 強行規定
- 公序良俗
- 法例二条
- 虚偽表示
94条の適用範囲
- 善意の時期
- 第三者の範囲
- 転得者の扱い□無過失の要否
- 対抗要件の要否
- 錯誤
- 動機の錯誤
- 第三者の錯誤主張
- 詐欺
- 96条3項の意味
- 強迫
- 96条3項の反対解釈
- 完全に意思の自由を失った場合の処理
- 意思表示の効力発生
- 代理に於ける三面の関係
- 代理権の存在
- 顕名主義
- 代理行為の暇疵
- 代理人の能力
- 法律効果の帰属者
- 代理
- 任意代理人の復任権
- 法定代理人の復任権
- 無権代理
- 代理権の消滅
- 表見代理
- 相手方の催告権、取消権
- 無権代理人の責任□単独行為の無権代理
- 無効及び取消
- 取消の効果
- 現存利益
- 追認の要件
- 法定追認
- 条件及び期限
- 時効
- 援用権者の範囲
- 取得時効と登記
- 時効の中断
- 消滅時効の起算点
- 時効利益の放棄
- 時効完成後の債務の承認
- 物権の変動
- 登記請求権の発生原因
- 中間省略登記
- 取得時効と二重譲渡
- 法律行為の消滅、解除と登記
- 相続と登記
- 共同相続と登記
- 相続放棄と登記
- 遺産分割と登記
- 混同
- 即時取得
- 192条の適用範囲
- 占有権の取得
- 自主占有への変更
- 占有権の効力
- 善意占有者と果実
- 費用償還請求権
- 占有の訴
- 占有の訴と本件の訴との関係
- 占有権の消滅
- 所有権
- 物上請求権
- 所有権の取得
- 附合との関係
- 相隣関係
- 囲繰地通行権、判例に注意
- 共有
- 共有物の利用、保存行為、管理、共有物の変更
- 地上権
- 賃借権との相違
- 地役権
- 不可分性の場合をチェック
- 留置権
- 条文のチェック
- 先取特権
- 順位を整理しておくこと
- 質権
- 代理占有の禁止
- 転質権
- 質物の占有回収
- 抵当権
- 抵当権の処分
- 抵当権の譲渡、放棄の関係
- 抵当権と用益権との関係
- 392条共同抵当
- 根抵当権
- 条文のチェック
- 仮登記担保
- 条文のチェック
- 債権の目的
- 制限種類債権
- 利息債権、債権の効力
- 金銭債務の特則
- 原始的不能か後発的不能か
- 原始的不能の場合
- 契約締結上の過失か担保責任か
- 後発的不能
- 債務不履行と危険負担
- 債権者代位権
- 423条の要件
- 特定債権へ転用
- 債権者取消権
- 424条の要件
- 特定債権のためにも適用
- 連帯債務
- 連帯債務者の一人について生じた事由
- 絶対的効力を生じる事由
- 保証債務
- 附従性
- 主たる債務者または保証人について生じた事由の効力、連帯保証の特則
- 債権譲渡
- 対抗問題、公信力
- 債務引受
- 免責的債務引受と併存的債務引受
- 弁済
- 弁済の提供
- 相殺
- 債権差押と相殺
- 同時履行の抗弁権
- 適用範囲、危険負担
- 例外としての債権者主義の適用範囲
- 契約の解除
- 対抗問題
- 売買の効力
- 売主の担保責任の問題
- 買戻
- 消費貸借
- 利息の計算
- 賃貸借
- 地上権との比較
- 請負
- 条文のチェック
- 委任
- 条文のチェック
- 寄託
- 事務管理との関係
- 不法行為
- 使用者の責任
- 親族の意義
- 婚姻の成立
- 近親婚の制限、直系姻族間の婚姻禁止、養親子関係者間の婚姻禁止
- 未成年者の婚姻
- 婚姻の無効及び取消
- 欺岡された当事者のみ取消権がある
- 婚姻適齢に達しないものの婚姻届が誤って受理された場合でも、適用されることになるので、そのものは成年に達したものと見なされる。
- 取消の効果
- 婚姻取消は、その効力を既往に及ぼさない
- 婚姻の効果
- 成年擬制
- 夫婦間の契約取消権
- 婚姻の解消
- 原因は当事者の死亡(失踪宣告)と離婚
- 復氏
- 実子
- 推定される嫡出子、推定されない嫡出子、認知された非嫡出子
- 養子
- 代諾養子
- 親子の氏
- 親権
- 後見の開始
- 単独養親又は養親夫婦のうち最後に親権を行使する養親が死亡した場合
- 相続人
- 代雲相続の要件
- 相続分の計算
- 特別受益者、寄与分を含めた計算
- 相続の承認
- 単独承認と限定承諾
- 相続の放棄
- 限定承認との比較
- 遺言
- 条文のチェック
- 遺留分
- 条文のチェック